肥満は遺伝であると主張するのは、ジェイソン・ファン(Jason Fung)医学博士。
肥満は、氏か育ちか
肥満研究の権威・アルバート・J・スタンカード博士が、「肥満は、氏か育ちか」を突き止めるため、様々な研究を行ったそうです。
例えば、
- 太っている両親の子どもを、やせている家庭で育てたケース
- 別々の環境で育てられた一卵性の双子研究
それぞれの研究から、「肥満を決定づける要因の約70%が遺伝によるもの」という結果が導き出されました。
つまり肥満は、育ちではなく生まれによる
子供時代に太っていた人は、肥満遺伝子を持っているということになります。
まあ、特別裕福で毎日スイーツをたらふく食べていた子供の場合、肥満遺伝子のせいにすることはできませんが…
肥満遺伝子は存在するのか
それならば、肥満遺伝子というものがあるのか…
そこで、検索して見つけたのがこのサイト
このサイトによると、私たちの体内で代謝に関わるものは約50種類から60種類程度と見られていて、そのうち、肥満を引き起こしそうなのは約10種類あるそうです。
逆に肥満を阻止するために働いてくれる遺伝子もあります。
そんな直接的に肥満に関与する遺伝子「エネルギー代謝を司る遺伝子(代謝促進遺伝子)」が3つ紹介されていました。
- 「β3AR」こと「β3アドレナリン受容体」という遺伝子
糖質燃焼を担う遺伝子(日本人の34%が持つ)
アドレナリンと結合すると、脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪を分解し、どんどん燃やしてくれる - 「β2AR」こと「β2アドレナリン受容体」という遺伝子
タンパク質の合成と分解に関わる遺伝子。取り込んだ栄養素を素早くエネルギー源にすべく分解してしまう(日本人の25%が持つ) - 「UCP1」こと「脱共役たんぱく質1」という遺伝子
正しく脂肪燃焼を最大の任務とする遺伝子です(日本人の16%が持つ)
日本人の大多数は、この三つの遺伝子のうち一つは持っているため、元々太りやすくはないのだそうです。
肥満遺伝子の正体とは
なんと!!
どうにも納得できないのですが…
元々は肥満防止遺伝子だったものが我が身を守るために変異した3つの肥満促進遺伝子
というものが、肥満遺伝子の正体だというのです。
『ベータ3アドレナリン受容体遺伝子(通称:β3AR)』の特徴
極端におなかポッコリではなくても、ウエストのくびれが分かりにくい人や内臓脂肪率の高い隠れ肥満の人の多くが所持している遺伝子です。その体形の見た目から、別名「リンゴ型遺伝子」と呼ばれています。
最大の特徴は、糖質分解が大の苦手で、正常な人に比べると、基礎代謝が200キロカロリーほど少なく、内臓脂肪をどんどん蓄積して行くタイプ!!その一方で、脂肪分解は得意としているため、皮下脂肪はそれほど蓄積されません。『ベータ2アドレナリン受容体遺伝子(通称:β2AR)』の特徴
痩せの大食いと言われるような、脂肪もなければ筋肉もない骨と皮だけの人なら、ほぼ間違いなく所持しているものと見られる遺伝子と言われています。また、その体形の見た目から、別名「バナナ型遺伝子」と呼ばれています。
最大の特徴は、糖質分解も脂肪分解も非常に得意である事。正常な人に比べると、基礎代謝が200キロカロリーほども多く、日常生活の中で一定量の運動量を保ってさえいれば、皮下脂肪も内臓脂肪も蓄積されません。その代わりに、筋肉も付きにくいため、活動量が減ると一気に太り始め、100キロを超える巨漢になる事も珍しくないのです。『脱共役タンパク質遺伝子(通称:UCP1)』の特徴
下腹部やお尻に太ももに脂肪が付く、いわゆる下半身デブと言われる人たちの多くが所持している遺伝子です。その見た目から、別名「洋梨型遺伝子」と呼ばれています。
最大の特徴は、脂肪分解が大の苦手で、正常な人に比べると、基礎代謝が100キロカロリーほど少なく、皮下脂肪をどんどん蓄積して行くタイプ!!その一方で、糖質分解は得意としているため、内臓脂肪はそれほど蓄積されません。
これを読むと、 自分がどのタイプなのか、わかりますよね。
わかったら、その対策を知れば太らないで済むはず。
それぞれの肥満型の対策
『β3AR遺伝子』と上手に付き合う食生活
こちらは糖質分解が苦手ですから、ケーキや大福など、甘い物は大敵です。この他に、ご飯やパン、麺類といった炭水化物も糖の塊なので食べる量に注意しましょう。つまり、いくら甘い物が苦手、間食はしない主義、コーヒーは無糖派だと言っていても、主食の炭水化物が大好きでは痩せられません。
勿論、ビールや日本酒のような糖度の高いアルコール飲料も危険です。恐らく、中高年男性の多くは、こうした危険因子に気付かぬまま肥満になられたのではないかと予測出来ます。
ですが、特に働き盛りの男性が極端に糖質制限をするとエネルギー不足になります。すると、脂肪細胞から「レプチン」と呼ばれるホルモンが分泌され、脳は必要以上に飽食を指示します。つまり、自分では抑えきれないほどの食欲が湧き、それでも無理に我慢しようとすると、精神的な支障が出て来る事にもなりかねないのです。
そこで、コーヒーは無糖、間食はしないといった事を継続しつつ、主食はしっかりと取り、且つ、糖質分解を促すような食生活が重要になります。早い話、野菜や穀物類をたっぷり食べ、ビタミンやタンパク質を常時摂取する事により、糖質分解を円滑に進められるように心掛けましょうという事です。
一方、脂肪分解は比較的得意ですので、肉や魚を意識して制限する必要はありません。むしろ、主食を軽めにし、肉や魚からビタミンやタンパク質とともにスタミナも得るのは利口な作戦と言えるでしょう。『β2AR遺伝子』と上手に付き合う食生活
こちらは、糖質も脂肪も上手に分解出来ます。特に極端な食事制限は無用と言えそうです。しかし、自分は何をどれだけ食べても太らない体質と思い込み、常に暴飲暴食を習慣付けてしまう事が最も怖いのです。
確かに、現状の活動においてはバランスが取れているのかも知れませんが、少しでも活動量が減ると、たちまち栄養過多となり、それを脂肪として蓄積してしまいます。しかも、元々筋肉が付きにくい体質である事を考えると、その脂肪を筋肉に変える事は非常に困難で、短期間で驚くほど巨漢になってしまう人が後を絶たないのです。
そこで、普段からなるべく脂肪分解を心掛け、タンパク質をしっかりと摂取される事をお勧めします。特に、この遺伝子の仕業によって太ってしまった場合には、とにかく食事の量を少しずつ減らし、ビタミンとタンパク質で脂肪分解を試みるほかないでしょう。『UCP1遺伝子』と上手に付き合う食生活
こちらは脂肪分解が苦手な訳ですから、とにかく油の摂取を控えるのが絶対条件です。牛肉なら赤身、鶏肉ならささみや胸肉などを選びます。つまり、極力油分の少ない部位を煮物や焼き物など、多量の油を使わない調理方法で摂取するように心掛ける事が大事です。さらに、脂肪分解には欠かせないタンパク質を抱負に取る事も重要です。それには、生野菜よりむしろ、大豆加工品や青魚を中心とした食卓が望ましいと言えます。
特にサバ・イワシ・アジといった青魚には、EPAやDHAが豊富です。これらの成分は、UCP1遺伝子を持つ人の肥満防止やダイエットにはなくてはならない強い味方!!何故なら、通称「痩せるホルモン」とも呼ばれる、脂肪の代謝効率を上げる「GLP-1」腸内ホルモンの分泌を促すのこそがEPAだからなのです。加えて、DHAは脂肪細胞を減少させる作用を持っているのです。そして、どちらも体内合成不可能なので、食事によって取り込むしかありません。
そこで、出来る限りEPAとDHAをともに豊富に含む青魚を食べるようにするのが利口な作戦、と言えます。幸いにも、糖質分解は比較的得意なこの体質の方の場合、ご飯に鯖の味噌煮と言った煮魚定食は最高のダイエット食という事になるでしょう。
自分がどんな肥満遺伝子を持っているかはわからない場合、民間の遺伝子検査サービスを利用することができます。
まとめ
遺伝的に肥満になりやすい人がいるとわかった今、自分がそうであるとわかったら、あなたはどうされるでしょうか。
私の場合、生まれたときから太目で、食いしん坊で、運動嫌い。本能のままに生きていたら、今ごろは相当の肥満になっていたはずですが、乙女時代に減量を始めたためにいまもなんとか、healthyな体形を維持しています。
結局のところ、肥満が遺伝だとわかったところで、太らないためには太らない食事をして運動を怠けないことしかないんだなとわかりました。
ここで、親の皆さんとこれから親になる皆さんにお願いがあります。
子ども時代に太っていた人は、肥満の大人になる確率は17倍なのだそうです。
子どもが肥満になるかならないかは、はっきりいって親の責任。十分に管理してあげないと、子供は抗えずに肥満になるか、一生涯、抑えきれない食欲と闘い続けることになります。
わたしと私の妹の話をちょっとさせてください。
私は、子供のころ太っていました。家はお世辞にも裕福ではなかったので、お菓子を食べすぎたりはしていないはず。ただいつもお腹が空いていて、とても食いしん坊だった記憶があります。
いっぽう同じ環境で育った妹は、とても好き嫌いが多く、いつもご飯を食べないことで、親に叱られていました。
その結果、私は中学卒業まで太り気味の子供で、妹はずっと痩せていました。
成人してからは、妹は偏食を克服しよく食べる人になりましたが、今でもスレンダーな身体のまま。
私は、娘時代、太らないために拒食症すれすれの食事制限して、肥満を克服しましたが、今も、食事制限で平均体重を維持しています。普通に食べれば太ることがわかっているから…
肥満が遺伝だというなら、私は肥満遺伝子を持っており、妹はもっていないということになりますかね。
同じ両親、同じ環境にありながら、そういう違いがあるのはなぜなのか、レプチンとグレリンといったホルモンの影響なのか…
子供時代の肥満は、遺伝子の責任だけでなく親のしつけにも責任があると思います。